業務内容


 

完全オーダーメードの義肢装具・インソール(足底板)の製造

義肢装具士は、義肢装具を製作するだけでなく、利用者と直接会って装着具合や負荷の具合を測り、義肢装具と身体とをきちんと適合させるまでが一連の業務です。
義肢装具は基本的にオーダーメイドでつくられるもので、医師から義肢装具が処方されると、「採寸・採型」→「組み立て」→「仮合わせ」→「仕上げ」→「最終適合」といった工程で作業が進められます。
この中で、義肢装具士は利用者の身体に直接触れて型をとったり、装着具合を診断・調整していきますが、これは、資格を持った義肢装具士だけができる医療行為です。つまり義肢装具士は、人(利用者)と器械(義肢装具)とのインターフェイスの部分を担っている専門職。製作業のような側面を持ちながらも、あくまで人と触れ合い、利用者の社会復帰を支える、リハビリテーション医療の一員なのです。
なお、最近では採寸・採型、仮合わせ、適合は義肢装具士が行い、組み立て、仕上げについては製作専門の技術者が行うなど、分業化が進んでいるところもあります。

義肢装具制作の流れ

採寸・採型

義肢を製作する際は、まず身体の形状や寸法を記録し、荷重のかかり方などを検討する必要があります。その際に、石膏包帯(ギプス包帯)などを使用して立体的に体の型をとる方法が「採型」、体の輪郭をトレースし寸法を記録する方法を「採寸」と言います。
脚や腕を切断した場合、切断した先端を「断端」と言いますが、採型の際にはまず断端の寸法を測り、石膏で型をとって断端の骨や軟部組織の形状を観察し、体重のかけることが可能な部位かどうかを識別します。その型をもとに製作工程に入っていきますが、断端は、指先で軽く押しても形が変わるくらい柔らかいため、一口に型をとると言っても、決して簡単な作業ではありません。また、この時の型や情報がすべての基盤となるため、採寸・採型は、義肢装具製作における設計図ともいうべき、とても重要でデリケートな作業なのです。

組み立て

採寸・採型が終わると、その型をもとに製作を進めていきます。 手足などの断端部分を納めるカップ状のパーツが「ソケット」、金属のパーツを組み合わせてつくる、人間の"骨格"にあたる部分を「支持部(パイロン)」と言いますが、「ソケット」と「足部」や「手先具」を「支持部(パイロン)」により組みあわせて利用者一人ひとりに合った義肢を製作します。この際、利用者の負担を少なく、最も合理的に体重を支えられるようソケットと「足部、手先具」を連結させる"相対的位置関係"を決定することを「アライメント」と言います。

仮合わせ

アライメント・組み立てが終了したら、半完成状態の義肢を実際に利用者の身体に装着し、体重のかかり方や圧迫具合などを診断・調整します。
義肢の装着状態や出来が悪いと、装着してもうまく機能できないため、利用者ときちんとコミュニケーションを図り、それぞれが安心して装着できるよう調整・補正を繰り返していきます。

最終適合

義肢装具における「適合」は、義肢・装具と身体とをいかにフィットさせるかの「微調整」を行う作業。特に義肢は、オーダーメイドの靴や服と同じで、一人ひとりの身体にぴったりフィットするよう身体の形状やサイズ、筋力のはり方をみながら細かな調整を行う必要があります。
例えば、身体と義肢が接触する面積を大きくして一カ所に圧力が集中しないよう調整したり、逆に骨などの固い部分で圧力を受けて圧力に耐えられるようにしたり、利用者の負担をできるだけ減らしそれぞれが安全に心地よく装着できるよう工夫します。
義肢や装具は身体機能の補完や代用を担う道具ですが、毎日生活をともにする利用者にとってはいわば身体の一部。最終適合はその最後の仕上げであるため、細かな調整を丁寧に行う正確性と根気強さが必要とされるとても繊細な作業です。